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「自分流」で撞く楽しみを~メイドインジャパンの『Geez』(ジーズ)開発秘話

 

 

感嘆や驚きを表す英語フレーズ、「Oh Geez!」(“Oh Jesus!”の変形)から名付けられたジーズシャフトは、新興ブランドではあるものの、耳の早いユーザーに驚きと喜びをもって迎えられています。

 

ジーズシャフトはなんと3種類ものカーボンコア内蔵のハイテクシャフトで、ラインナップは2つ。

 

低ディフレクション、つまり「トビ」(「見越し」とも)が極めて少ない「Type S」と、ノーマルシャフトに近いディフレクションのある「Type G」があります。

 

これまでの製作実績は「ほとんどType S」とのこと。

 

タップは近日一般発売が始まる新しい牛革積層タップ、『BIZEN』(ビゼン)を標準装備。

 

先角はエルフォリン(樹脂)です。

 

テーパーは「ロングストレートテーパー」1種類(※先端径は12mm)。

 

公式サイトのオーダーフォームをご覧いただくとわかりますが、「リング」「ロゴ色」「ジョイント」が選択可能です。

 

ジョイントは一部メーカーのものをのぞき、ほぼ全てのキューに対応していると

言っていいでしょう。

 

 

また、要望があれば、上の画像のように有料(1万円)でネーミング(名入れ)

サービスも行っています。

 

ぐっとスペシャル感とカスタム感が増すため、すでに多くのユーザーから

好評を博しているとのこと。

 

希望者はオーダーフォームの「お問い合わせ内容」欄にその旨を記入のこと。

 

…………

 

ジーズの工房では、複数のスタッフが製作にあたっています。

オーダーが増え続けているためフル稼働状態だとか。

 

代表のIさんによると、

 

「製作の原点は『自分用の道具作り』。私は歴35年のA級プレイヤーですが、ビリヤード中断期間を経て戻って来た時、しっくり来る道具がありませんでした」

 

Iさんは世界中、古今東西様々なキューを入手、試打し、検証を重ねましたが、

満足行くものには出会えず、「それならば」と自作することに。

 

「もちろん市販のもので優れたハイテクシャフトもあります。ですが、一長一短だったり癖があったりしました。普通は『自分がシャフトに合わせる』んでしょうけど、私は『自分に合うシャフトを作ろう』と。はっきり言えば自分の感覚で撞けて体の一部になる『勝てるシャフト』が欲しかったんです。理想像と工法は頭にありましたし、これまで仕事でも趣味でも道具にこだわり自分で作ってきた経験があるので、あとはやるだけでした」

 

急ピッチで製作環境と人員と材料を揃え、試行錯誤と検証を重ねに重ねながら

プロトタイプを製作。その1本目が「いきなり素晴らしい出来栄え」だったと言います。

 

 

「とにかく最上級のカナディアンハードメイプルに出会えたことが大きかった。これを使って自分の考える工法で作ればいいシャフトが出来る確信はありましたが、作ってみたら本当にその通りになりました。また、ご縁があって標準装備することになった『BIZEN』(ビゼン)タップは、シャフトの特性をロスなく引き出してくれていると思います」

 

BDもジーズシャフトで少しだけ試打させていただきましたが、振り抜きやすいテーパーで打感はソリッド。サウンドも「コーン」と高めで良い響きがあります。

 

ジーズシャフトが目指したのは「高トルク」性能。

 

最大出力(パワー)を上げるというより、どんなキュースピードでも球離れが良く、スピンをかけやすく、かつ、ボールコントロールがしやすいシャフトを追求したとのこと。

 

「パワーを追求すれば、たくさんボールを走らせられるし、キュー切れはアップするけれども、手球のポジションが暴れやすくなることもあります。トルク追求型のシャフトなら、もちろんキューを切ろうと思えば切れますし、おとなしい球はおとなしく安全に撞ける。コントロール性がアップし、細かいポジションもやりやすくなります」

 

また、特にスピードを落とした時や、キューを置いてくるような撞き方をした時に発生しやすい「スロウ」(ボール同士の接触時の摩擦により的球が厚く引っ張られる現象)を大幅に抑えることにも成功したと言います。

 

「ビリヤードはスロウありきというか、普通に撞くとスロウが出やすいラシャでありボールになっていると思います。素晴らしいシュート力を持つトッププロ達が、普段だったら100%入れているはずの球を抜いて負けるというケースを見ますよね。もちろん彼らが厚みを間違える訳はない。わずかなスピンやキュースピードの変化に対して敏感にスロウが出ていることが原因です。『早くコンディションを読んで合わせていれば』という言葉も聞きますが、短い試合の中では限界があると思います。それならば、スロウの発生を出来る限り抑えられるようなシャフトを作ろうと」

 

実際にジーズシャフトを使った人の多くが最も驚くのが『スロウが出にくいこと』。

殺し球などスローでヒネる球も怖がらず撞けると言います。

 

さらにType Sであれば、トビもほとんど出ないので、『厚み通りに撞けば入ってくれる』『ためらわず様々なスピンが使えて自分の好きな球の取り方ができる』

という声も多いのだとか。

 

裏を返せば、「それまでのシャフトに合わせた狙い方・見越し方を止める」

ということでもあります。

 

「多くの方は『このシャフトではこの球はこう狙って』という独自の見越し方を持っています。ですので、ジーズシャフトをお渡しすると一瞬混乱状態になる方もいます。でも、しばらくすると、『ああ、本当に厚み通りで良いんだ』とわかり、皆さん笑顔で撞き始めます。今までよりも良い結果が出てほとんどの方がビリヤード場へ行く回数やプレー時間が長くなったと言っていました」

 

シュートミスのリスク回避のために、ショットスピードを下げ、ヒネリの量と頻度を抑えて、しっかりフリを取って組み立てるのが現代競技ビリヤードの主流スタイルです。

 

でももし、トビとカーブがほぼなくて、スロウも発生しにくくて、どんなスピードでもボールコントロールがしやすいシャフトがあったら……!?

 

「自分流で撞く楽しさ」と「成功率」の両立。

その可能性を追求したのがジーズシャフトです。